2017.05.11 Thursday 08:02

#DCF と #運転資金

某上場会社への出資を検討するにあたって、DCF法で公正価値の確認を行っていると、売上成長率を高く設定するほど株式価値が下がるという不可解な現象が起こりました。

よくよく調べてみると、在庫水準が異常に高く、仕入債務の水準が異常に低い。

売上増加によって稼ぐお金以上に、必要な運転資金が増える構造になっていたのですね。

企業価値算定にあたってPLに比重を置きすぎていたことを反省させらる出来事でした。


2017.05.05 Friday 13:27

「介護離職ゼロ」を考える(3)

2015年秋にアベノミクス新3本の矢の一つとして「介護離職ゼロ」が掲げられました。

その後、「働き方改革」という言葉も浸透し、この3月には「働き方改革実行計画」が公表されました。

この中に、「子育て・介護と仕事の両立」という項目があります。

「柔軟な働き方」、「高齢者の就業促進」との合わせ技で、実際的な取り組みを進められるのでは、と考えています。

政府が掲げている「働き方改革」なので、経済成長の一方策という視点に立っており、実際に困っている人の目線が希薄なのは否めませんが、少なくともそれらを考える土壌醸成の一助になっていることは良いことだと思います。

今後議論を深めていくには、実際に困っている人、あるいは困った経験のある人の関与が欠かせないと思います。


2015.11.30 Monday 09:57

「介護離職ゼロ」を考える(2)

会社は『介護を抱える「被雇用者」は要らない』と考えている一方、国は『介護を抱える「被雇用者」を増やそう』としている。
このような現実と政策のミスマッチが生じているとしても、その政策によって介護を理由に会社を退職しなければならない人が少しでも減るのであれば、それは歓迎すべきことだと思います。

しかしながら、会社が『介護を抱える「被雇用者」は要らない』と考えている以上、介護のために正社員として仕事を続けられなくなる人がゼロになるということはないと考えるのが現実的です。
そうだとすると、介護のために「被雇用者」の立場を失った人が、会社を退職した後も収入源を確保する道を整備する必要があるのではないでしょうか。

介護のために会社を退職する人を減らすだけでなく、それがゼロにならないことを前提に、会社を退職した人も何らかの形で働き続けることができるようにする。「離職=被雇用者の立場を失うこと」という視点を超えて、「介護離職ゼロ」を目指していきたいものです。
 
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2015.11.26 Thursday 08:24

「介護離職ゼロ」を考える(1)

アベノミクス新3本の矢の目標の1つとして「介護離職ゼロ」があげられていますが、いまひとつ盛り上がりに欠ける印象が否めません。
自分自身が持っている問題意識と合致するということもありますが、「介護離職ゼロ」という目標自体はよいものだと思います。
政府としてもさまざまな施策を検討しており、少なくとも実現へ向けての真剣な姿勢は伝わってきます。
ただ、家族の介護を抱える人たちが「被雇用者」としての立場を失わないためにはどうするか、という視点が強すぎるように思うのです。

就業者の8割以上が被雇用者であることを考えると、「離職=被雇用者の立場を失うこと」ととらえることは、ほぼ現状に即しているのかもしれません。
しかしながら、正社員に対して「献身」を求める意識の強い日本の会社の立場からすると、介護のために会社への「献身」が制限される正社員はできるだけ敬遠したいというのが本音です。人口の減少によって今後人材の確保が難しくなることがわかっていても、目の前にしなければならない仕事がある以上、中途採用などの手っ取り早い人材確保策をとりたいのです。

会社は『介護を抱える「被雇用者」は要らない』と考えている一方、国は『介護を抱える「被雇用者」を増やそう』としている。
ここに現実と政策のミスマッチが生じている気がしてなりません。



 

2015.07.25 Saturday 08:16

売掛金の長期未回収による3つのダメージ

よくある誤解に、売掛金を長期間回収できなくても最終的に回収できれば問題ない、という考えがあります。

最終的に入金された額だけを見ると、あたかも問題がないように見えますが、隠れたリスクに目を向けると、長期未回収がどれほど会社にダメージを与えるかがわかります。

主なダメージとして、貸倒れリスクの高まり、金利負担、人件費のムダと機会損失があります。

 

1.貸倒れリスクの高まり

売掛金が長期間回収されないのは、取引先の内部オペレーションに起因する場合もありますが、大半は取引先の資金繰り状況が原因です。

取引先が資金繰りに窮している場合、時間の経過がそれを解決に導くことはまずありません。むしろ、時間の経過とともにさらに資金繰りに窮することのほうが、圧倒的に多いのです。

そうだとすると、売掛金の未回収が長引くほど回収の可能性が低くなることは明らかです。

 

2.金利負担

売掛金が回収されないということは、その分の現金が入ってこないということです。

入ってくるはずの現金が入ってこないのであれば、資金繰りに余程余裕がある場合はともかく、どこかで調達しなければなりません。それを借入れで賄うのであれば、当然利息を支払わなければなりません。回収できていれば支払わなくて済むはずの金利負担が生じるということです。

 

3.人件費のムダと機会損失

売上代金が期日どおりに入金されないときは、当然ながら入金の督促を行います。

資金繰りに窮している相手先であれば、あの手この手を使って入金を先延ばしにしようとするかもしれません。埒が明かない場合は、こちらから相手先に出向かなければならないこともあるでしょう。

これらは、期日どおりに入金が行われていれば一切する必要のない作業です。

本来不要な作業のために時間を使うだけでなく、売上をあげるために使えた時間が削られる。長期未回収による人件費のムダと機会損失は計り知れないものがあります。

 

貸倒れリスクの高まり、金利負担、人件費のムダと機会損失。

売掛金の長期未回収は、想像以上に大きなダメージを会社に与えることがお分かりいただけると思います。

売掛金というのは無利息での資金貸付と同じようなものですから、すくなくとも期日までの回収に対しては厳格な姿勢で臨みたいものです。

 

(売掛金の長期未回収がなくならない原因を調査します。お気軽にご連絡ください。)

http://tanakabizsupport.com/cash/contact.html
 

2015.07.13 Monday 08:08

同じ法令違反を起こしてしまう3つの理由

会社の事業は、さまざまな法令の制約を受けます。

ところが、法務専門の部署を持たない中小企業にとって、すべての法令の順守状況を把握することは現実的に難しく、業界の規制法や労働関連法など限られた法令に対応するのが精一杯というのが現状です。

そのため、思いもよらない場面で、行政当局から法令違反の指摘を受けることがあります。

ただ、単にその存在を知らなかったために法令違反を起こしてしまうことは、マンパワーに限りのある会社にとってある意味避けられないことであり、「初犯」であれば行政当局もおおめに見てくれることが多いようです。

しかしながら、同じ法令違反を再び起こした場合は、言い訳の余地はありません。

再発防止策を講じなかったという理由で、行政当局によるペナルティも覚悟する必要があるでしょう。

 

それでは、なぜ同じような法令違反を起こしてしまうのでしょう。

考えられる主な理由は次の3つです。

1.指摘を「アンラッキー」ですませる

2.責任部署があいまい

3.仕組みをつくらない

 

1.指摘を「アンラッキー」ですませる

私たちは、自分が考えている以上に狭い範囲で仕事をしています。そのことに気づくのは難しく、私たちは自分の日常業務における常識こそ世の中の常識だと思ってしまいがちです(この傾向は、同じ会社で、同じ業務を長年担当し、社内で一定の地位を築いている人に特に顕著に見られるようです。)。

そのため、なじみのない法令について違反を指摘されても、それまではそのような法令を意識しなくても日常業務に支障がなかった(=自分の常識では、そのような法令を意識する必要はなかった)ために、その指摘を「たまたま」、「アンラッキー」と捉えてしまうことが往々にしてあります。実際には、その法令をいつも意識してしっかり守ることが常識であるにもかかわらずです。

そのような姿勢で法令に向き合うと、指摘に対してその場しのぎの対応をしてしまいます。再発防止にまったく焦点をあてていないため、同じような法令違反の再発を防ぐことはできません。

 

2.責任部署があいまい

法令違反が単独の部署の行為に起因することはまれであり、発覚した場合、どの部署も「自分の部署だけが悪いわけではない」あるいは「自分の部署は悪くない」と考えます。そのような状態にあっては、自ら積極的に責任をとる部署はありません。

そのため、せっかく再発防止策を講じたにもかかわらず、どの部署がどの範囲の責任を持つのか明確にしていないために、結局だれも責任をとらず、有効な対策にならないケースも多いようです。

 

3.仕組みをつくらない

普段あまり意識することのない法令の違反は、「のどもと過ぎれば」です。

防止の責任を与えられた部署も、最初のうちは意識して対策を実施するかもしれませんが、時間がたつにつれてその意識は薄れてきます。そして、日常業務に何のメリットももたらさない(ように見える)法令違反防止対策は、ただ煩わしいだけの業務になり、担当者の変更などを機に実施されなくなることが少なくありません。

第三者部門による定期確認や継続的な教育など、防止対策を続ける仕組みをつくっていないと、往々にしてこのようなことが起こります。

 

指摘を「アンラッキー」ですませる、責任部署があいまい、仕組みをつくらない。

これらが、法令違反を再び起こす要因となっていることがおわかりいただけたでしょうか。

思いもしない法令違反を指摘されたときは、それを真摯に受け止め、防止対策を実施する責任部署を明確にし、定期的な確認・教育によって対策が続けられる仕組みをつくる必要があります。

そうすることによって初めて、同じ法令違反の再発を防ぐことができるのです。

 

(同じ法令違反が何度も起こる原因を調査します。お気軽にご連絡ください。)

http://tanakabizsupport.com/risk/contact.html


2015.07.06 Monday 08:13

介護離職を防ぐために今すぐできること

介護と仕事の両立をはかるために、下表に記載したような制度が法律で定められています。

ところが、これらの制度を利用することなく会社を辞めてしまう人が少なくありません。

その理由として考えられるのは、そもそも制度の存在を知らないこと、また、制度の存在は知っていても社内に利用者がだれもいないために自分も利用できないと思ってしまうことなどです。

 

従業員の介護離職を防ぐためには、少なくとも従業員がこれらの制度を利用できるようにしておかなければなりません。

そのためには、次の3つの取組みが必要になります。

1.社内規程に反映させる

2.規程の存在を社内に知らせる

3.制度を利用しやすい雰囲気をつくる

 

1.社内規程に反映させる

介護と仕事の両立をはかるための制度を社内規程にきっちりと反映させることは、「介護を抱えていても働き続けてほしい」というメッセージを従業員に伝える第一歩です。

法律の規定をそのまま反映させるだけであれば、インターネットなどから入手したひな形を自社用にアレンジする必要はほとんどありませんので、すぐにでもできる作業です。

 

2.規程の存在を社内に知らせる

社内規程を頻繁に読んでいる従業員はまずいません。

社内規程を読んだことのある従業員もほとんどいません。

社内規程があることを知っている従業員もあまりいません。

そのような状態にあって、上記の制度を規程に反映させただけでは、従業員がその制度を知ることはありません。

社内報や定例ミーティングを通じて、従業員に規程の内容をアピールして初めて、従業員はその内容に目を向けます。

1度きりではだめです。繰り返し伝えて、従業員全員に浸透させなければなりません。

 

3.制度を利用しやすい雰囲気をつくる

制度の存在を知っていても、社内に利用する人がだれもいなければ、従業員は制度の利用を躊躇します。

また、制度を利用したことのある社員がいたとしても、制度を利用したことによってその社員が評価を下げられたり居場所がなくなったりしたのであれば、だれも利用しようと思いません。

経営幹部が率先してこれらの制度を利用し、「利用しても大丈夫」という雰囲気をつくりましょう。

そうして初めて、少しずつ利用する人がでてきます。

 

<介護と仕事の両立を支援するための制度>                    (2015年4月1日現在)

制度

概要

対象労働者

根拠法令

休業

休暇制度

介護休業

要介護状態にある対象家族を介護する労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで、介護休業を取得することができる。

原則として、要介護状態の家族を介護するすべての男女労働者(日々雇用される者を除く)。期間雇用者は一定の要件あり。

育児・介護休業法

介護休暇

要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができる。

期間雇用者も含め、原則として、要介護状態の家族を介護するすべての男女労働者(日々雇用される者を除く)。

柔軟な働き方

介護のため所定労働時間の短縮措置等

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度その他の措置(短時間勤務制度等の措置)を講じなければならない。

時間外労働の制限

要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が請求した場合には、事業主は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならない。

深夜業の制限

要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が請求した場合には、事業主は、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならない。

その他

労働者の配置に関する配慮

事業主は、労働者に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その変更によって介護が困難になる労働者がいるときは、当該労働者に配慮しなければならない。

不利益取扱いの禁止

事業主は、介護休業など上記の制度の申出や取得を理由として、解雇などの不利益な取り扱いをしてはならない。

各制度の対象労働者に準ずる。

所得保障

介護休業給付金(雇用保険)

同一家族の要介護状態につき、1回の介護休業期間(ただし、介護救護有限会社開始日から最後の3か月間)について、介護休業開始時の賃金月額の4割を介護休業給付金として支給する。

要介護状態の家族のために介護休業を取得する雇用保険の被保険者で、休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある者(期間雇用者は、介護休業と同様、一定の要件あり)

雇用保険法


(介護離職予備軍の実態調査をいたします。お気軽にご連絡ください。)

http://tanakabizsupport.com/human/admission.html


 

2015.06.30 Tuesday 08:20

オーナー企業における予算実績管理のむずかしさ

予算実績管理制度を導入したのに経営に役立っていない、ということがあります。

どのような制度についてもいえることですが、予実管理制度も形を整えるだけでは不十分であり、運用が定着して初めて効果があがります。

 

予実管理制度が機能するのを妨げる要因は、いくつか考えることができますが、その中でも最も大きなものの1つが、経営者、とりわけ創業社長の予算に対する考え方です。

 

事業を立ち上げ、それを続けるという、とてつもない仕事を成し遂げてきた創業社長は、大きなビジョンをもって、孤独と戦いながら、目の前の仕事に全力で取り組むことによって、現在の地位を築いてきました。

そのような創業者にとって、上場などを機に本格導入する予実管理制度は、一見したところそれまで培ってきた考えと相反するように思える点がいくつもあり、なかなか活用するに至りません。

予実管理制度に対して創業社長が抱く抵抗感のうち、代表的なものとして次の3つがあげられます。

1.直接アウトプットを生まない作業に時間を割くことへの抵抗感

2.低い目標に対する抵抗感

3.自分が管理されることに対する抵抗感

 

1.直接アウトプットを生まない作業に時間を割くことへの抵抗感

ある程度経営の指標として活用できる精度の高い予算を編成するためには、各部門が相当の労力をかける必要があります。

ところが、それまで予算を作成することなく会社を経営してきた(しかもそこそこの業績をあげてきた)社長にとって、予算編成というのは余分な作業でしかなく、各部門本来の仕事のアウトプットを減らすものととらえがちです。

 

2.低い目標に対する抵抗感

上場すると、多くの企業が業績予測を開示しますが、これは、いわば株主に対する約束のようなものであり、当初予測から大きくぶれると修正予測を開示しなければなりません。

そのため、多くの企業は実現可能な数値をますが、高い目標を掲げて従業員に発破をかけることで業績を伸ばしてきた創業社長は、外部に対してそのような低い数値を開示してしまうと従業員ががんばらなくなるのでは、という懸念を抱きがちになります。

 

3.自分が管理されることに対する抵抗感

大半の創業社長は、管理されるということに慣れていないうえ、自分の会社は自分が管理してきたという自負心から、自分の従業員の策定した予算によって行動を規制されることを極端に嫌います。

 

直接アウトプットを生まない作業に時間を割くことへの抵抗感、低い目標に対する抵抗感、自分が管理されることに対する抵抗感。

社長がこのような姿勢を持ったまま編成した予算は、ほぼ確実に精度の低いものとなり、業績を図る指標とはなりえません。そうすると、ますます予算編成作業に力を入れなくなり、予実管理制度が形骸化してしまいます。

予実制度を機能させるためには、社長がそれを活用しようという前向きな姿勢を持つことがとても重要だということがわかると思います。

 

(予実管理が機能しない原因を調査します。お気軽にご連絡ください。)
http://tanakabizsupport.com/cash/contact.html

 


2015.06.23 Tuesday 04:32

取引基本契約はどのように未回収防止に役立つか

取引基本契約は、一見当たり前のことを羅列しているだけのようにもみえることから、積極的に締結していない会社も見受けられますが、実は、売上代金の未回収を防ぐうえで非常に重要な役割を果たしています。

 

ここでは、次の3つの役割を見てみましょう。

1.支払条件を明確にする。

2.回収が危ぶまれるときは、支払条件に関わらず、すぐに回収できるようにする。

3.牽制効果

 

役割その1 支払条件を明確にする。

売上代金を確実に回収するために、まず何よりもしておかなければならないのは、どのような方法で、いつまでに代金を支払ってもらうかといった支払条件を明確にしておくことです。

支払条件について、双方が合意したことを証明する文書を残しておくことは、その条件で確実に売上代金を支払ってもらうために欠かすことができません。

契約書に支払条件を明記することは、確実に回収するための大前提となるのです。

 

役割その2 回収が危ぶまれるときは、支払条件に関わらず、すぐに回収できるようにする。

売上代金を「○月○日までに支払う」ことを契約書に明記すべきですが、これは、裏を返せば「○月○日までは支払わなくてもよい」ということです。売主は、その期間は支払いがなくても文句を言うことができません。

しかしながら、たとえば相手先が不渡りを出したときなど回収に懸念が生じたときは、直ちに回収手続きに入らないと、回収の可能性が急激に低くなってしまいます。

したがって、このような緊急事態には、支払条件に関わらずすぐに支払わなければならない(「期限の利益喪失」といいます)ということを約束しておく必要があります。

契約書に期限の利益喪失条件を明記してはじめて、緊急時に直ちに回収行動に移ることができるのです。

 

役割その3 牽制効果

支払条件や期限の利益喪失以外にも、所有権の移転時期や管轄裁判所などを契約書に明記することで、何かあった時には少しでも自社に有利に回収を進めることができます。何かあった時はその時に対応を考えたのでは遅く、前もってリスク・ヘッジしておく必要があるということです。

ただ、それでも所詮「何かあった時」の準備であって、それが起こらなければ契約締結の労力はムダと考える経営者は少なくありません。

ところが、契約を締結することは、「何か」を防止する機能もあるのです。

もしあなたの取引先が、執拗に契約の締結を迫ってきたらどのように感じるでしょうか。

正直五月蝿いという思いが先に立つかもしれませんが、そのような会社に対して、「きっちりした会社」、「約束を守る会社」という印象も持つと思いますし、そのような会社に対してはこちらも誠実に対応しなければならないと思うのではないでしょうか。

相手方に対してこのような印象を抱かせるということは、とりもなおさず支払いに対しても誠実に対応しようと思わせるということです。

個人的には、このような態度を相手方に持たせることによる、「予防効果」こそが、契約を締結する最大の効用ではないかと考えています。

 

支払条件の明確化、期限の利益喪失の条件、牽制効果。

売上代金を確実に回収するために、取引基本契約が持つ役割を3点だけあげましたが、この3つがあるだけでも未回収回避の効果は非常に大きいものだと思いませんか?

 

取引基本契約を締結して、未回収をなくしましょう。

 

(取引基本契約の整備についてご相談を承ります。お気軽にご連絡ください。)
http://tanakabizsupport.com/cash/contact.html

※取引基本契約について参考になるウェブサイト
・法務屋経営大学院
http://blog.goo.ne.jp/moncheri54/c/be6be6f0a217330dd23d6467d25e2c17
 


2015.06.20 Saturday 05:36

在庫の滞留がキャッシュ・フローに与えるダメージ

在庫の滞留は、私たちが想像している以上に、キャッシュ・フローにダメージを与えています。

主なダメージは次の3つです。

1.購入・生産に費やしたお金がムダになる

2.税負担が生じる

3.管理コストがかかる

 

以下では、この3つを詳しく見てみましょう。

 

ダメージその1 購入・生産に費やしたお金がムダになる

会社(製造業)は、手持ちのお金をもとに、材料や部品などを購入し、従業員に給料を支払って製品を生産し、その製品を販売してお金を得ています。材料・部品を購入したり給料を支払ったりしたときにはお金が出ていき、製品を販売した時にお金が入ってきます。当然のことながら、製品が売れなければお金は入ってきません。

材料・部品や製品は、購入あるいは生産した段階で、資産(在庫)として帳簿に記録されます。帳簿に数字がのっていると、あたかもそれだけの価値があるように思えますが、実際にはそれだけのお金が出ていったことを示しているにすぎません。在庫となっている材料・部品は、製品の生産に使用され、その製品が販売されて初めてお金に姿を変えるのです。同様に、在庫となっている製品は、販売されて初めてお金に姿を変えるのです。

在庫が滞留するということは、その在庫の購入や生産にかかったお金が出ていっただけで、それらを使用・販売すれば入ってくるはずのお金が入ってきていないということを意味します。会社のお金が滞留在庫の分だけムダに減少しているということです。

 

ダメージその2 税負担が生じる

使用も販売もできなくなった滞留在庫は、廃棄するしかありません。

廃棄すれば、廃棄した在庫の金額分だけ会社の利益は減ります。税金がかけられる会社の所得は利益をもとに計算されますから、滞留在庫を廃棄することによって利益が減れば所得も減り、支払う税金も少なくなります。

反対に、廃棄するしかない滞留在庫を保管していると、廃棄すれば軽減されるはずの税金を余分に支払うことになります。滞留在庫が100万円、税金が40%とすると、40万円の税金を余分に支払わなければならないということです。

このように、滞留在庫を廃棄せずに放置していると、支払わなくてもよい税金を支払うことになります。会社のお金が税金の分だけムダに減少しているということです。

 

ダメージその3 管理コストがかかる

滞留在庫を管理するためには、通常の在庫を管理するのと同じだけの手間がかかります。会社にお金をもたらさない在庫を管理するために、限られた時間を使い、限られたお金から人件費を支払い、限られた在庫スペースを割かなければなりません。その結果、会社にお金をもたらす在庫の管理やそのほかの業務が圧迫されるかもしれませんし、あふれた在庫を保管するためにお金を払って外部倉庫を借りることになるかもしれません。

会社のお金が、滞留在庫を管理する人件費や外部倉庫費用の分だけムダに減少しているということです。

 

以上、「在庫の滞留がキャッシュ・フローに与えるとんでもない悪影響」として、購入・生産に費やしたお金がムダになる、税負担が生じる、管理コストがかかる、という3つを見てきました。

 

必死になって売上を上げているのに一向にお金に余裕が出ない大きな原因の一つが、滞留在庫の放置だということがご理解いただけたでしょうか。

皆さんの日々の努力は報われなければなりません。

ぜひ、滞留在庫を減らして、一生懸命稼いだお金がムダに出ていかないようにしてください。

 

(在庫が滞留する原因を調査します。お気軽にご連絡ください。)
http://tanakabizsupport.com/cash/contact.html
 


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